ここが己の居場所だと言い張る路地裏の猫
ここから見える空は俺のものだと
そんな猫の尻尾掴んで振り回し
ここが己の居場所と言い張るんだ

線を引いたアスファルト
ひとところで霞んでる白
ここが己の居場所だと言い張っているうち日が暮れる
猫が己の居場所を返せと啼く

お前には解らないさ
自由気儘な猫のお前なんかにこの苦しみ
せめて今だけこの時間だけ
安らぎ求めてるんだ　欲しいんだ

家に帰ったって良いことないさ
学校に行ったって良いことないさ
いっそ猫　猫になりたい
時間を止めて　時間を止めて

ここから見える空は俺のものだ
そのダンボールから身を引けよ
もう尻尾掴んで振り回す元気なんか無い
引っ掻いて現実に戻してくれるなよ

唯々諾々 波の中で
森羅万象 掌中にある
ああ 喋る 喋る
黙ることを知らない人々

弱肉強食 美を知る
他力本願 恥を知る
ああ 喚く 喚く
黙ることを知らない人々

別れを告げた声音は冷たい
背を向けた君の肩は震えてる
そこまでする理由は何？
トリカゴの鳥は何も知らない
さえずって愛らしく首を傾げて

縛り付けられた君を救いに来たと
格好良く言えたらよかったのに
いま私は君と同じ
同じ姿で蒼天の霹靂、空を視てる

叫び声さえ届かないのなら
ああトリカゴの鳥
自由になれる翼もいで

心の痛みすら届かないのなら
ああ トリカゴで暮らす君
いっそのこと終わらせて
笑えない結末